4.胸の痛み
「昔さ、よく虫捕りしてたんだよなー。」
その日の訓練すべてを終えた後、シン達ザフトレッドは幼少時の思い出話に花を咲かせていた。
シンの虫捕り発言に同意するのは彼の愛する少女だ。
「トンボの羽って飛んでる時キラキラしててすごくきれいだよね。」
ちなみに飛んでいる時のトンボの羽の動きなど、高速すぎて目には見えない。
「・・・あのさ、トンボの羽は見えるもんじゃないから、普通は。」
「そうよ。あーあ、私もそのくらい目が良ければもうちょっと撃墜率上がるんだけどな。」
虫捕り話に交じってこないのはレイだった。
無口な彼を見て、話題を変えることで彼の興味を引こうとする作戦に出てみる。
「ねぇ、レイはちっちゃい頃何して遊んだの?」
「・・・ピアノだ。大好きだったラウに買ってもらった。
初代戦場のピアニストの跡を継いで、2代目戦場のピアニストの称号を得ることが夢だった・・・。」
「・・・初代戦場のピアニストは緑色の髪をした、一見天使実は悪魔のニコルの事だろう?」
「死んだ心の師匠の事をそんな風に悪し様に言わないで下さい。
音楽センスも服のセンスもゼロのあなたに言われたくないはずです、彼ももちろん俺も。」
無口なはずのレイがいやに饒舌に喋るのは、アスランのかつての戦友ニコルの功績だった。
気にしている事や気づいていなかった事をずばずば言われ、
アスランはその後毎晩服用する胃薬の量を2倍に増やしたそうだ。
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