9.ふざけた話
「ねぇねぇ、ゼシカはどんな時に2人と出会ったの?」
「え?」
いきなりの質問にゼシカは驚いた。
そんな話、とっくに彼らの口から直接聞いていたものだと思っていたからだ。
当時の自分は兄の死という悲劇もあり、かなり荒んでいた。
だからあの、ひたすら主君を助けるために戦い続ける2人について、
旅に出ようと強く感じたのかもしれない。
「ドルマゲス追って1人で旅に出ようと思ったの。
でも海に大きなイカがいて船が出せなかったのよ。
それをあの2人が見事退治してくれちゃったって訳。」
「イカ・・・。私その時みんなに会ってなくて良かったかも・・・。」
「ああそっか。イカ苦手だったもんね。でも・・・、どうして今更そんな事聞くの?
2人に直接聞いたらいいじゃない。」
だってーと苦笑交じりの顔で言う。
「だって彼にどうやってって聞いたら、何を思ったのか、
自分とゼシカの間にやましい事なんてないって言うのよ?
真相は聞けずじまい。ヤンガスに聞いたら話が脱線するの目に見えてるし。」
「そういう事なの。もう、手のかかるったらありゃしない。」
その場では2人で可笑しそうにけらけらと笑いあったが、後日ゼシカは例の男を呼び出した。
「何、ゼシカ。」
「何、じゃないわよ。変な事気にしないでちゃんとあの子の質問に答えてあげなさいよ。」
ゼシカの的確なアドバイスに返す言葉もない恋する悩める少年だった。
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