07.倒れるわけにはいかない
どうして今になって砂漠を歩かなければならないのだ。
リグは太陽の光を遮るものが何もない砂漠のど真ん中で、砂に口が入りややざらついている口をもごもごと動かし毒づいた。
イシスを治めた歴代の王たちが眠るピラミッドには、盗掘されてもなお多くの財宝が隠されているという。
力の種とか素早さの種とか命の木の実とかあるかもしれないだろとレミラーマを唱えながらバースは熱弁するが、
木の実が財宝とは思いにくい。
リグはようやくピラミッドに到着し間もなく見つけた宝箱に上に無造作に腰かけると、
額に浮かぶ汗を拭ったりヒャドで涼を取っている女性陣に愚痴を零した。
「種の2つや3つ、王のおやつに取っといてやりゃいいものを・・・」
「えっ、リグ王様たちが見えるの!?」
「見えた瞬間呪われるって。種1つのためにくそ暑い中歩いて、俺は種より水が欲しいって」
俺もそこらのしゃれこうべの仲間にはなりたくないんだけど。
水が財宝と嘯きながら宝箱の蓋をつついたリグは、不意にむくりと動き飛びかかってきた人食い箱に口中の水分を失う大声を上げた。
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