10.無題と言う題
今年は勝負の年らしい。
とある筋からもたらされた情報に、バースはやっとかと感慨深く声を上げた。
「去年は確実にないと思ってたけど、ようやっとそう言ったってことはつまりそういうことなんだろ」
「俺とライムとエルファがアリアハンを出て旅を初めて、あと2ヶ月で8年か・・・。
今までの俺たち勝負してなかったのかな」
「去年の先月は完全に後発組に置き去りにされてたしね」
長くて短かった7年だけど、やっぱ長すぎと思うよ俺は。
いくら歳を取らないとはいえ、これだけの時間が経てば5年以上前に何をしていたのか忘れてしまう。
イシスだったかまだロマリアだったか、本当に何も思い出せないくらいそれらは遠い昔のことなのだ。
「ここって俺らのために作られたから、俺らの旅終わったらどうすんのかな」
「意外と帳尻合わせるの上手い人だから、私たちの少し前くらいから全部きり良く片付けてるんじゃないかしら」
「・・・また年末に荒れそうだよね・・・」
「去年すごかったみたいだしな、年末の駆け込み最終話」
世界ってなかなか平和にならないもんだよなあ。
バースのぼやきに、リグたちは一様に頷いた。
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