02.笑って告げる
人類マジン化計画とでかでかとホワイトボードに書かれたタイトルに、へえー?ととりあえず疑問の声を上げる。
ほとんと常に常人が思いもしないようなことを平気で考え口にする友人だが、今日もやはり冒頭から話についていけない。
円堂は友を刺激しないように極力柔らかく、それって何だと尋ねた。
「何ってタイトルのまんま?」
「ちょっと説明がいるタイトルかな」
「そーう? 最近のマジンってかっこよく登場してバーンと強くなるじゃん?
マジンってのは使用者の情熱的なのが形になるらしいから、だったら私も呼びたいじゃんって話」
「人を呼びたいなら連絡取ればいいと思うぜ? あとマジンじゃなくて今は化身な」
「でもせっかくなら化身の方はかっこよくない? 化身にもなれる人間よ、ハイブリットじゃん」
「・・・それで、鬼道をどんな形で呼び出したいと」
「は? 鬼道くん? 呼ばないよ鬼道くんなんか」
円堂くん何言ってるの寝ぼけてるーと即答し茶々まで入れる友に、円堂はえっと聞き返した。
大好きなダーリン以外にだれを呼ぶというのか、むしろ彼女の頭がこん睡状態に陥っているのではないかと脳波を調べたくなる。
円堂はホワイトボードにさらさらと書かれた人物名を見て、ああと感心と嘆きと納得と疑問の籠ったハイブリット相槌を入れた。
「風丸くんなら絶対にかっこいいと思うわけ。蒼聖のなんとかーとか」
「うん、風丸の連絡先教えるから風丸に余計なことするのだけは勘弁して下さい」
「フィーくんは化身にならなくてもとっくに最強だし、勝手に来そうだけど」
「一流プレイヤーをパシリみたいに言うのやめようぜ」
「半田はそうね、たぶん外部からの圧力で書かざるを得なかったんだろうけど、何やってもどうせ半田だろうから消しとこばいばーい」
「ホワイトボードに召喚するの自体やめてほしかったよ・・・」
呼ぶならやっぱ風丸くんってことで円堂くんとっとと私にマジンの出し方教える。
最初から最後まで話についていけなかった円堂の体が、ずるずると引きずられながら部室から消えた。
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