08.お姫様なんかになれるはずがない
どうすればよいのでしょうと相談されても、どうしましょうとしか答えられない。
いくら昔なじみとはいえ、通っている学校が違う以上手助けできることは限られてくる。
父上のお考えがわかりかねますとぼやく鳳凰学園の制服姿の娘に、夏侯覇はほんとだよと相槌を打った。
「王子役に身長制限ってそりゃあんまりだよ。ちっせぇ王子いてもいいと思わね?」
「なければ夏侯覇殿は王子になって下さいましたか?」
「いやいや俺別に身長制限クリアしてるし!? 3ミリくらい余裕でクリアしてるし」
「では・・・!」
「ただ、俺が相手だとこう・・・なんだろうな・・・。
自分で言うのも寂しいけどお遊戯会っぽくなってせっかくの公主の綺麗さがなー」
演劇会やる、主役はわしの娘、王子はが選びわしも認めた男でないとならん!
鳳凰学園の理事長の突拍子もない発言に一番振り回されているのは、突然主役に抜擢され
王子を連れて来いとの指令を受けただと思う。
娘が可愛くて仕方がないのはわかるし事実は可愛らしいが、お世辞にも主役を張れるような人ではないと思う。
の喋り方や立ち居振る舞いは非情に上品だが、あまり感情に起伏がない。
彼女に好きだと言っても、棒読み同然に『はいわたくしも』と返されそうな気がする。
それは正直ちょっときつい。
キャストのハードルが高すぎる。
「そもそも、わたくしが主役など父上は何をお考えなのでしょうか・・・。わたくしは演義などできませぬ」
「ちなみに何の姫様やんの?」
「人魚姫でございます」
「あぁなるほど。殿すごいわさすが殿、娘の適性わかってる」
適役だ、人魚姫は喋らなくていい。
物憂げな表情はは今もよく浮かべているから大丈夫だ、問題ない。
ただ殿、それ悲恋じゃなかったっけ?
夏侯覇は曹操の計算高さに賛辞を送ると、悩み続けているの横顔を見つめた。
知り合い紹介しようかと言うと、鐘会殿は嫌ですと即答される。
長身爽やかイケメンいるけどと携帯電話のアドレス帳を調べながら言うと、もったいのうございますとやんわりと断られる。
何やったらそんなに毛嫌いされるんだよ鐘会。
お前の評判どこでも大抵悪いな。
困りました、困ったなあ。
ほうと息を吐き歩く夏侯覇たちの前に、どこからともなく痣を大量にこさえた超不良集団が転がり飛び出した。
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