03.三つの願い事



 世間のルールに縛られない治外法権エリアで悠々自適の生活を送りながら、
周囲の行動を縛りつけるルールを生み出す存在は絶対的なものだ。
誰も彼の行く手を阻むことができない以上、すべては彼の思惑通りに進む。
豪炎寺は、自身を狙い撃ちにしているとしか思えない悪意満載の新ルールが書かれたホワイトボードを忌々しげに睨みつけた。




「何も悪いことをやっていないを叱らない。は大らかなだけなんだ、可愛いじゃないか」

「風丸が見えていないだけなんだ。は定期的に面倒を引き起こしては俺を困らせている」

「それは豪炎寺の思い込みだろ。2つ目、を度の合わない眼鏡をかけて見ない。
 どこからどう見ても可愛いじゃないか、は」

「目を覚ませ風丸。いつまで悪夢を見ているんだ」

「3つ目。四の五の言わず可愛いものには素直に可愛いと言って可愛がること。
 わかるな、をむやみに苛めるなって俺は言いたいんだ」





 無理だ、特に3番目は風丸にしかできない。
可愛いと口にすることにはそれなりの気力と勇気がいると風丸は知らない。
何が可愛いだ。
可愛いだけではないからあれやこれやと躾けて、可愛いがより引き立つようにしているこちらの気も知らずに好き勝手決めやがってふざけるな。
どこも可愛くなんかない、俺は絶対に可愛いなんて思わない!
豪炎寺の反抗に、風丸は豪炎寺と叫んだ。




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