06.花の名を問う
さすがはアレフガルド唯一の王国だと思う。
どんなにゾーマに脅かされ襲われても王国としての威厳は未だ衰えておらず、広大な敷地には草木が茂っている。
今はまだ華やかではないが、季節が巡ればさぞや美しい庭園になり人々の目を和ませるに違いない。
リグは庭園にしゃがみ込み慣れた手つきで手入れをしているであろうローラの隣に同じようにしゃがみ込むと、綺麗だなと声をかけた。
「え・・・!?」
「ここのこと。きっと綺麗な花が咲くんだろうなって」
「あ、庭、ですか・・・」
「うん?」
「いえ・・・。ありがとうございます。ですが、私もまだこの庭園が花で溢れるのを見たことがないのです」
「へえ・・?」
「アレフガルドは光が差さぬ大地。太陽の恵みが受けられぬ草木は、花開くことがないのです・・・」
「でも咲くんだろ、ほら」
見てみなよと促されリグが指差した先を見ると、蕾がうっすらと膨らんでいる。
こんなに手厚く世話してんだから咲かないと割に合わないだろ。
にっこりと笑い同意を求めてくるリグに、ローラはぽおと頬を染めこくこくと頷いた。
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