04.早く願いを叶えて
どうせまた来年会えるいちゃいちゃカップルのデートを覗き見する趣味は私にはない。
去年も去年で早く早く、早くしないと終わっちゃうと急かされていた。
私は笹に飾る白紙の短冊をひらりと天井にかざすと、これで叶うもんですかと毒を吐いてみた。
神様が吐く息すべてがゴッドブレスになるわけではないのだ。
あれはある特定のガムを噛んだ後でないと吐けない、非常に特殊な息なのだ。
そもそもあの2人、雲の上の地球のもっと上に住んでるけど、神様でもなんでもない。
お願い事は神様にするものなのに、どうして神様がただの星住みにおねだりしなければならないのだ。
しかも恋の悩みって、それは生まれてこの方ずーっと日本さんと一緒にいざるを得ない選択肢しかない
私への当てつけですかって話だ。
「なんか神様としてのプライドすごく傷つくんですけど」
「農作物の面倒しか見れないあなたよりは数倍ロマンはありますよ」
「ロマンじゃお腹は膨れません」
「夢がない人ですね。あなたのような存在が最も夢物語じみているというのに」
ていうか、ロマンを現実にしちゃった日本さんにこれ以上望むものなんてないでしょう?
人間とは欲が尽きない生き物なんですよ、ふふふ。
日本さんはそういうと、大量の短冊にさらさらと無理難題を書き始めたのであった。
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