2.弱い部分をひと握り
さらさらの茶髪から1本飛び出ているくるんを引っ張ると、ちぎぎと鳴く。
こんな美術品みたいにかっこいい顔してるのに、鳴き声がちぎぎって。
そのギャップもまた可愛いったらありゃしない。
・・・と言ったらロマーノは不貞腐れるから言わないけど。
「そこは引っ張ったり触るなって言ってるだろうがちくしょー!」
「えー、だって反応が楽しいんだもーん」
「男鳴かせて何が楽しいんだよ!」
「何って、私が?」
びくびく震えながら怒ったって全然怖くない。
さすがはヘタリアと呼ばれる国の片割れなだけはある。
私ごときに見事に手玉に取られてる。
「でもなんだかなー・・・。女よりも色っぽいってのはちょっと嫌かも」
「んなことねぇよ!!」
「ふお?」
ソファに並んで座ってたはずなのに、いつの間にやら私の上にはロマーノが。
イタリア男舐めんなって言って、今度は震えずにちゃんと怒ってる。
怒ってる顔も綺麗だなんて、絶対に言っちゃ駄目だ。
言っちゃいけないけど、やっぱり綺麗なことに変わりはないからついつい見惚れちゃう。
「の弱い部分はここと・・・」
すらりと伸びた指が私の唇をなぞって、そのまま首筋を伝い下に降りていく。
ひんやりとした感触に背中がぞくぞくする。
形勢逆転って、こういうこと言うんだなー・・・。
そんな場違いなこと考えてたら、ちゃんと現実直視してろと言われて私のトマト的な部分の片方を掴まれた。
トマト的な部分だ、みなまで言わすな。
「胸もこうやって弱いだろ、腰も弱いし内腿も・・・。弱いとこばっかだな、このやろ」
「そこは誰しも弱いってば・・・!? わ、わ、触っちゃやだ、口寄せるのもっと駄目!」
「くるん触った礼はきっちり返さねぇと。女に気持ち良くしてもらってばっかりじゃ、イタリア男の名が廃る」
つぎつぎと的確に人の弱いところばっかり触ってくるロマーノには、もはや対抗する手立てはない。
私のこと全部知り尽くしてるみたいに攻めてくる彼は、わたしが本当に弱いところには気付いてないみたい。
だって、まさか、自分そのものに一番弱いだなんて、相当の自惚れ屋さんじゃないと思わないよね。
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