お題・9
09.身の程知らず



 じゃんけんにすら負けた自分に残された勝利法などあるのだろうか、いや、ないだろう。
くじ引きには負け、テストでも土壇場の英語スパークで逆転負けを喫し、人生のバラ色度でも当然負けている。
勝ち組ではないとはわかっていたが、攻めてイーブン組だと思っていた。
相手が悪いのか暗闇が悪いのか、間違いなく言えるのはこちらにはまったく非がないことだ。
さすがは世界の理を覆し、常識を非常識でなかったことにする革命の女だ。
たとえ効果がプラスであれマイナスであれ、彼女に係わってしまったすべての人間はその人生を大きく曲げられるのだ。
もちろんそれに抗することができるのは誰もいない。
なぜなら、彼女を一度知ってしまった人々の世界の中心こそ即ち彼女だからだ。




「なあ、お前ってクイーンじゃなくて実はジョーカーだろ」

「やぁねえ私のどこがジョーカーよ。マジ天使って見てわかんない?」

「天使なんてカードねぇよ。ジョーカーじゃないならあれか、ドロー4か」

「リバースかもよー」

「自分で言うなよ、ばーか」




 もー、馬鹿って言った方が馬鹿なんだからねー。
そう反論した無敵の悪友は、こつんとチェスピースを動かすとチェックメイトと高らかに宣言した。





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