7.するよりされたい
今日のロマーノはちょっとおかしい。
いつもなら人目も憚らずキスしてハグしてくれるのに、今日はほんの少しぎゅってしてくれただけでむっすりとしている。
どこか調子悪いのかな。
くるんはちゃんとくるんとしているし、顔色も悪くない。
どうしたのと訊いてもなんでもないってぶっきらぼうな答えが返ってくるだけだ。
とりあえず家には連れて行ってくれたけど、家についてもむっすりさん。
ほんとにどうしたんだろ。
ちょっと見ない間に私、ロマーノがドン引きするほどに可愛くなくなった?
そんなはずはないと思うけどうーん・・・、もしかして単に愛が冷めただけなのかも。
私よりもスタイル良くて可愛い女の子なんてごまんといるから、この理由だと妙に納得できた。
「ロマーノ、他に好きな女の子できたんなら遠慮せずそっち行っていいからね」
「・・・は? 何言ってんだよ・・・」
「だって今日のロマーノちょっと変なんだもん。どうかした?」
「・・・なんか、いっつも俺ばっかりがキスしてハグしてるのが不思議になってさ・・・。たまにはからやってくれね?」
「ハグはいいけど、キスは無理」
不貞腐れているロマーノをぎゅっと抱き締める。
次はとせがまれ、うっと詰まる。
挨拶のキスだもん、ほっぺでいいよね、いいってことにしよう。
ドキドキしながら頬にキスをすると、ロマーノが違うと文句を言う。
違うって何が。
困って固まっていると、ロマーノの白くて綺麗な指が私の唇にそっと触れた。
「俺はいつもここにしてんだけど」
「む、無理無理恥ずかしい」
「やってくれなきゃ俺、今日からストライキ」
「ロマーノ、これ以上ぐうたらしてどうすんの」
「、やって」
ほっぺでも緊張するのに唇になんて、ロマーノは私を昇天させたいのだろうか。
目も瞑ってくれないロマーノにゆっくりと顔を近づける。
あ、できた。
恥ずかしくてすぐに離れると、ロマーノに腕を引っ張られあっという間に彼の胸へと逆戻りする。
「上手になるまでしばらく練習だな」
「ロマーノがやってくれる方が私は好きなんだけどなー・・・」
「・・・ああもうちくしょう! なんでそうやって可愛いことしか言わねぇんだよ!」
やっぱりキスはするよりされるものだな。
私はお手本のようなロマーノのキスを受け入れながら、ぼんやりと考えた。
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