2.清く正しく隣で眠らせて
でっかなベッドの真ん中に仕切られた壁を見せつけられ、俺はなんでやねんと呟いた。
ここまで警戒される意味がわからへん。
俺がいったい何したって言うん?
「自分の心によーく問い質してみなさいエロスペイン」
「ベッドの上でやらしいことすんのは当たり前やん」
「ベッドはぐっすり眠るため、睡眠欲を満たすためにあるの! 性欲満たすためじゃないの、わかる!?」
「このサイズのベッドの主目的は性欲満たすためやで?」
わ、枕投げつけられたわ。
なかなか狙いも定まっとるし、今度のトマティーナには誘ったらな。
野菜は粗末にしたっらあかんて怒られるやろか。
俺は枕を受け止めると、ついでに仕切りに使われているクッションも取り崩した。
ベッドのクッションはいらん。
壁もいらんのや。
「いつもはさせてくれるやん。なんで今更?」
「寝不足になっちゃうし、私は抱かれるために逢いに来てるわけじゃないの。それなのに翌日辛くて、私このままじゃいつか壊れる」
「俺の手で壊れてくってのも見てみたいわぁ。いっそ壊れるまでやってみいへん?」
「絶対やだ! もうやだ、スペイン大っ嫌い!」
あかん、本格的に泣き顔になっとる。
啼くのはええけど、泣かせるのはあかん。
しかも嫌い言われてもうた。
嫌われるのはもっとあかん、ショックで滅亡しそうや。
他の連中に持ってかれてしまうかもしれへん。
俺はベッドの隅で縮こまっている体にそっと触れた。
あぁ、そない震えんといて。
嫌がる子に無理やりするほど今の俺は飢えてないわ。
「ごめんな、もう今日は何もせんて約束するから泣かんといて。たまには川の字なって寝るのもええなぁ」
「・・・川の字なんていつ知ったのよ・・・。・・・でもまぁ、川の真ん中仕切りにしてくれるんだったら・・・」
「・・・え、ええよ」
「じゃあ寝る」
1日お預け食らったら次が激しいって知らんのやね。
ほんま可愛くて素直な子で良かったわ。
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