お題・2
02.方程式は必要ない



 そこらのお年寄りのみんながみんな頭がいいとは限らないし、物知りってわけでもない。
私はまだまだとっても若い娘さんだから別にそこまで熱弁するつもりはないんだけど、一応念のため言っておく。



「そういえば、あなたは学校にも寺子屋にも行ったことありませんものね」
「ええないですよ、歴代の出入りの先生にはいろいろ教えてもらってましたけど」

「盲点でした・・・。どうしますか、今からでも通ってみますか?」

「行かないですよ。だって私書道もお料理もできますもん。畑だってほら見て、ニンジンが収穫のしどきですよ!」

「では後で採りに行くとしましょうか。・・・それで、学校ですが」

「私だって勉強してるんですよ、最近仲良くなった草食男子から肥料事情とか品種改良されたお野菜とか。
 ちょーっと前まではベビーリーフなんてなかったのに人ってすごいと思いません?」




 生きていくうえで必要な知識っていうのは、実は結構少ないと思う。
お花も昔習ったけど別に活けなくたっていいし、歴史なんて日本さんがいればそれでいい。
見てきたこと感じてきたことが真実なんだから、教わりたくもない。 お買い物だって足し算引き算掛け算ができれば平気だ。
いつだったかお付き合いしてた書生さん曰くの微分積分なんて、私人生それなりに長いこと生きてきたけど使ったことは一度もない。



「ちなみに日本さんは私に何を習わせたかったんですか?」

「・・・保健体育」

「今更ですか? それ一番いらないじゃないですか、私が人ならまだしも」




 忘れてるかもしれないですけど、私見た目は人だけどほんとは人じゃなくて神様なんですよ?
私が作ったのだから当然知っていますと言った日本さんは、まずは国語ですかねと拗ねたように言った。





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