今度新しくやって来た女の子と私ってすごく気が合うと思うの。
そのうちミネルバ三大美少女とか言われるようになったりして。














Data03:  ミネルバと愉快なクルー達
            ~ここってほんとに戦場だよね~












 どこの艦にもクルー達のたまり場があるわけで、このミネルバ艦にも当然そのような部屋があった。
ただしこの部屋は以前アスランが優秀でいずれも見目麗しい同僚達と生きるか死ぬかの軍人生活を送っていた時とは違い、
スナック菓子とコーヒーの匂いで満ち満ちている。
パイロットが幼いせいというのもあるだろう。
先日、この異臭漂う部屋に何ヶ月かぶりに大掃除のメスが入った。
幼なじみに再会できるという甘い言葉についつい乗せられ、急遽民間人からミネルバクルーへ転身した事になっている
自己紹介を兼ねてここを訪れるからだ。






「ねぇアスラン、まだここ入っちゃいけないの?」


「あぁ。いまシン達が必死になって部屋の片付けやってるから。」





外で待たされているアスランとは先程からどたんばたんと聞こえる音を聞いて少々引いていた。
いったいどれだけ元は散らかっていたのだろう。
主に散らかしているのはシンに違いない。
そう思いアスランは1人小さく息を吐いたその時、ようやく扉が開いた。





「お、お待たせ!! さぁ、中に入って!!」





押入れの隙間からぎゅうぎゅうに詰め込まれたお菓子の袋が見えるのは目の錯覚ではないようだ。











































 コーディネイターとは本当に美形が多い。
今、の目の前に座っているザフトレッド達も相当見目がいい。
赤毛の少女がにこにこと言った。





「私、ルナマリア・ホーク、17歳。
 妹にメイリンっているんだけど、あの子は管制やってるの。
 歳の近い女の子の友達ずっとほしかったのよね。これからよろしくね、!!」




なんとも可愛らしくてちょっぴり勝気そうで、はきはきとした少女だ。
は彼女に関してはほんの予備知識しか持っていなかったが、何も知らない方が新鮮な出会いを楽しめるというものだ。
ルナって呼んでねと言ってウィンクをする彼女ににっこりと微笑んで頷く。
妹の方にもぜひとも早く会ってみたい。






「私もルナみたいにかわいいお姉さんみたいな友達欲しかったの。
 仲良くしてね。」



「あ、でもここに来て一番最初に仲良くなったの俺だから。」


「お前は少し黙っていろ。・・・レイ・ザ・バレルだ。」






 騒ぎかけたシンを黙らせた金髪の少年は一言、自分の名前だけ告げた。
後はじっとの顔を凝視している。
何かを見透かすかのような視線に一瞬怯む
もしかしてこの人は自分の正体を知っているのではないだろうかとも考えてみる。







「・・・いきなりこんな無茶苦茶な艦に乗せられて災難だったな。」


「まぁ、でもこうやって楽しそうなみんなにも会えたし。
 私に出来ることがあればお手伝いするよ?」






いくらなんでもただでこの艦にお世話になるわけにはいかない。
それなりに掃除も出来るし、その気になれば整備系の仕事もできないこともない。
だがその仕事はあまりしたくなかった。





「そういえばってここで何かするの?」





ルナマリアが当然の質問をにした。
確かに何もしないままここにいても無駄に命を危険に晒すだけだ。
は返答に窮して頼みのアスランを不安そうに見つめた。











「そうだな・・・。余ってる仕事っていったら雑用・・・かな。」


が雑用だなんてひどいじゃないっすか! もっとマシな仕事・・・!!」








アスランの言葉にシンが反発した。
彼にしてみればは手元に置いておきたい存在だ。
他人にいろいろと関わってしまう雑用などさせたくもない。








「シン、そんな事言わないで。私こう見えても掃除とか料理とか結構得意だったりするんだよ?」




花嫁修業だってしたんだよ? と冗談めかして言うにシンはなぜだ顔を紅くした。
笑顔を見ているだけでドキドキする。
きっとこれが好きという気持ちなんだろう。
ぽやーっとの顔を見ていると不意に目が合った。
さらに顔を真っ赤にさせるシンと、彼を見てちょっとはにかみ笑いをする
今、2人の周りには綺麗な花が咲いているようにも見える。






「君は、俺が、守るから。」

「え?」





突然漏らしたシンの言葉に首を傾げる
シンは彼女の方に手を置き、目の高さを同じにするともう1度言った。






は、なにからでも俺が絶対守るから。
 だから戦わなくていいんだ。」


「誰も戦うとか言ってない・・・。」






に会ってからシンの心の歯車は狂いっぱなしだ。
かなりの重症と見える。















































 なんだかんだでその後シンとルナマリアによる争奪戦などもあったが、
とりあえず部屋も充てられ落ち着いたは外が見渡せるデッキにいた。





「あ、!!」


「シン。」





部屋から持ち出した椅子に座ってぶらぶらと足をぶらつかせていると、中からシンがやって来た。
首にはヘッドホンがかけられている。
射撃訓練でもしていたのだろうか。
シンは彼女の隣に座るとうつむきがちに尋ねた。







「俺達のこと、怖い?」


「どうして? シン達はみんな優しい人達よ。私みんなのこと大好き。
 こんなに楽しい気分になれたの何年ぶりかなってくらい。」






そう言うとは椅子から飛び降り床にじかに座った。





「ずっと楽しくなかった?」



「そんな事ないけど、アスラン達とさよならしたの10歳の時だったから、6年ぶりかな。」


「6年・・・ってことは今16歳? 俺もそうなんだ、9月1日生まれ。
 てっきり年下かと思ってた。」



「私は9月20日だよ。あ、ちょっとシンの方がお兄ちゃんだね。
 お兄ちゃーん。」





 お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃーん。
シンの脳内でその言葉だけエコーになって響き渡った。
死んだマユの声が甦る。
の中にマユの姿を重ねてはいけない。
いけないと知っているがどうしてもやってしまう。
シンは思い余っての身体を抱きしめた。
優しく、優しくいたわるようにして包み込んだ。












「シ・・・ン・・・? シンの身体あったかい。生きてるって証拠だね。」



・・・。ごめ「何やってんのあんた達!!」










 背後でイライラとした大声がした。
慌ててから離れるシン。
大股でこちらに歩み寄ってくるのはルナマリアである。
その後ろには彼女によく似たツインテールの少女。









「探しに探してメイリン紹介しようと思ったら・・・!!
 シン、あんた何いきなりに手出してんのよ。お持ち帰りってそういう意味だったの!?」




「なっ・・・!! 違うよ! 俺はただがお兄ちゃんって呼んだから・・・!!」









 わーわーと言い合いを始めた2人を余所に、は立ち上がってぱんぱんとスカートを叩いた。
メイリンがに近づいて来てにっこりと笑いながら手を差し出す。






さん、だよね。私メイリン。
 今度一緒にお買い物行こうね。」



「よろしくメイリン。お買い物か・・・、楽しそう!!






新しいノートパソコンがほしいと切実に思っただった。








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