あとがき
凌統夢連載第3弾、『Please take my hand, princess!』もようやく終わりました。
舞台は完全に孫呉の領土へと移行しましたが、ヒロインはどこへ行こうが曹操の娘であり姫君なので何やかやと様々な障害があります。
何やかやの障害の大部分は割愛しましたが、冒頭の周囲にも認められた仲睦まじい間柄になるには色々あったんだと思います。
たぶん、裏で陸遜や甘寧が頑張ったはず。
頑張った人の功績に報いようとしなかったおかげで、陸遜がいつも損な役回りになっています。
彼は母代わりであり保護者代わりであり兄代わりであり、相当にスペックの高い人です。
お互いに小うるさくて小生意気ないけ好かない奴だと思っていますが、根っこはとてつもなく似ているのでよくある同族嫌悪です。
第3弾は、ゲームで言えば合肥の戦い真っ只中でした。
戦場で散ったヒロインの仇を討とうと燃える張遼、当たり前です。
死んだと思われていたはずの許婚とよりにもよって敵味方で再会し、それでも連れ帰ろうとするのも当たり前です。
張遼にとってヒロインは敵になるはずのない絶対的な味方で、憧れの人で、まさに高嶺の花でした。
憧れていたからこそ、乱世には相応しくなく到底認められるものでもない個人の感情で国を捨て男へ走ったヒロインが許せませんでした。
でも、許せないと思っていてもそれでもなお今でも愛しいと思っているから手にかけることはできなくて、歪んだ方向で愛を貫こうとしたんだと思います。
かなり遅れて参上した凌統になんとか救出されましたが、いいとこ取りは完全に甘寧です本当に甘寧ありがとう助けてくれて。
だってこの連載、凌統が相手なのに凌統がほとんど出ないんだもの・・・。
凌統が出ない代わりに他のたくさんの武将が出ていますが、凌統が出ても他の将が出ているので畢竟凌統の影が薄くなります。
物語に登場しない時でも、凌統はヒロインのことを大切に想っています。
同じようにヒロインも、凌統のことをだれよりも大切だと想い慕っています。
でもきっとヒロインは、主君や国のために自身を連れ帰ろうとした張遼のことは嫌いにはなりきれないと思います。
父の部下としては、この上なく忠誠心の高い立派な将だとますます彼に対する評価を高めることもありそうです。
ただしその評価は、決して恋愛感情に結びつくものではありません。
ヒロインはとても聡明な子ですが、自らが他人にどれだけ想われているかといった人間の勘定についてはとんと疎いようです。
おそらく、ずっと自分を『公主』としか見てくれないという特殊な環境で育ったためにヒロインそのものを見ている人が少なかったからです。
ですが、今回凌統がもっと気付いてくれ、もっと自分を出していいと言ったので今後はもう少し人間らしいヒロインを見ることができそうです。
思えばこのヒロイン、あまりにも血が通っていない気がしてきました。
凌統とヒロインに待ち受ける数多くの関門もどうにかこうにか突破できましたが、次はどんな壁が待ち受けているのでしょうか。
ヒロインが公主である限り壁は尽きないと思われます。
まず、一番身近な壁は同居人陸遜との決闘です。
次こそ、今度こそもっと恋人らしく仲睦まじく過ごしている2人が書きたいなあと、前作の目標をそのままそっくり次へとバトンタッチします。
それでは、凌統夢連載『Please take my hand, princess!』を最後までお読みいただきありがとうございました。
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