それはここ最近の日課になりつつある、放課後教室の窓からサッカー部の練習を眺めていたときだった。
「あれ・・・」
窓からグランドを見下ろしてぽつりと呟いた言葉に、に付き合って教室に残っていた友人が雑誌から視線を上げる。
「あの子・・・誰だろ」
呟いたの視線を追って、友人が窓からグランドを眺める。
は一点を見つめたまま動けずにいた。
視線の先には半田と、その隣にいる知らない女の子。
二人はなにやら仲良さそうに、談笑している様子だった。
「あぁあれ。半田のクラスに転校してきた子だよ。めちゃくちゃ美人でかわいいって評判の」
「えっ、そうなの?」
「そ。まぁはそういうことにちょっと疎いからねぇ」
知らなくても無理ないか。
友人はそう言うとまた席に戻って雑誌を開いた。
はまじまじとその光景を見下ろす。
遠目でよくわからないが、あの子はそんなに美人なのか。
対する半田の表情もよくは見えないが、会話が弾んでいることは何となくわかった。
「あっちのクラスじゃ割と有名みたいだね。半田とあの子が結構仲いいっていうの」
視線をはずせないに、友人がなんてことのない口調で言う。
はそれを聞いて、我知らず打ちのめされたような気分になった。
「へぇ・・・。仲、いいんだ・・・」
微妙に変化したの声音に気づいたのか、友人はぱたんと雑誌を閉じた。
机に頬杖をついてを見上げる。
「ま、心配することないよ。あの子豪炎寺くんとすこぶる仲いいって話だし。そりゃもう熟年夫婦の貫禄ってやつ? だから半田に望みはないだろうし。だから落ち込むことないよ」
さらりと言われた言葉に目を剥く。
思わず勢いよく友人を振り返ったら、友人はくすりと笑った。
「・・・なに。気がついてないの?」
「な、なにに・・・。ていうかなんで! 私は別に半田くんが好きなわけじゃないって前にも言ったし!」
「そ。ならなんでそんな寂しそうな顔してたの」
「し、してないよそんな顔」
「してたよ。今」
がたん、と椅子から立ち上がり、友人はの額をぴんと弾いた。
「ほら。泣きそう」
やわらかく微笑まれ、は自分の顔が歪むのがわかった。
違う。違う。そんなんじゃない。
自分と半田は、ただ、廊下で話をするだけの間柄で。
友達とすら、呼べるようなものじゃない。
だからこんなのは違う。
違うのだ。
「さっきも言ったけど、心配することないよ。あの子と半田がくっつくことはきっとないだろうから」
多分、を慰めようとして言ってくれている言葉に、は首を左右に振った。
例えもし、半田があの子とくっつかなかったって。
半田があの子を好きじゃないと、どうして言える。
友人の言葉通りなら、あの子は豪炎寺と誰より仲がよくて。
だから半田が、身を退いたのだとしたら?
あの子を好きだけれど身を退いたのだとしたら?
「?」
心配そうな友人の声に、はただ、首を左右に振った。
なら、半田のしあわせはどこにあるのだ。
そう思った。
「あ、」
「!」
あの放課後から、一週間。
は廊下で声をかけられ、びくりと身を竦めた。
「なんか久しぶりだなー。ここ最近会わなかったよな」
明るく笑う半田に、は内心焦った。
会わないのも当然。
会わないように気をつけて生活をしていたのだ。
けれどそれを半田本人に言うわけにもいかない。
はそうだねと頷いて、けれど次の言葉が見つからなかった。
「なんか、ちょっと元気なくないか? どうかしたのか?」
「え、えっと・・・いや別に。なにもないよ?」
「そうかぁ? なんか暗いじゃん。なんか悩み事か?」
「悩みっていうか・・・」
「俺でよければ聞くくらいするぞ? まぁホントに聞くだけだけど・・・」
あはは、と苦笑混じりにそう言って、半田はの顔を覗き込んだ。
は思わず顔を逸らす。
「?」
「ごめん。なんでもない」
「なんでもないって顔じゃないけど・・・。もしかして俺がなんかした?」
「いやそういうわけじゃ・・・」
「じゃあ、なんだよ」
少し拗ねたような声音に、は反射的に顔を上げた。
目の前には困ったような、それでも心配そうな顔をした半田が立っている。
「半田くんは、しあわせ?」
思わず、そんな言葉が口をついて出た。
半田はぱちくりと瞬いて、ぽかんとした顔でを見た。
しまった。間違えた。こんなことを聞いてどうする。
そんな言葉がぐるぐると回るが、今更出てしまった言葉は取り消せない。
は慌ててぱたぱたと顔の前で手を振った。
「違う。違うのちょっと間違えた。えぇと、あのさ」
「なに。俺不幸そうに見える?」
笑いを堪えながら、半田がそう言った。
はさらに慌てて首を左右に振る。
「違う! そうじゃなくてえぇと、あの」
ふと、この間半田と談笑していた女の子のことが頭をよぎった。
「・・・半田くん、好きな人いる?」
「えっ、唐突だな」
言われ、は本日二度目の後悔をした。
脈絡がなさ過ぎた。
けれど半田は気を悪くした風もなく、笑う。
「・・・いるよ」
「!」
穏やかに言われたその言葉に、思わずは身を固くした。
いるんだ。やっぱり。それは、きっと、この間の。
「・・・つらくないの?」
「え? つらい?」
「だって、その・・・その子、別の人とすごく仲がいいみたいだし・・・」
「え・・・」
呆然としたような半田の声を聞いて、は今度こそ、言ってはいけないことを言ってしまったと青くなった。
誰が好きこのんで、好きな相手はお前より仲がいい人がいるみたいだなどという話を聞きたがるだろうか。
そんな人がいたらお目にかかりたい。
「ごっ、ごめ」
「ぷっ・・・あはははは!」
「は・・・?」
「さ、多分、なんか誤解してるだろ」
「へ・・・?」
いきなり笑い出した半田に、今度はが呆然とする番だった。
なにを笑っているんだろう半田は。
の言葉があまりにも酷すぎて、ついに笑うしかなくなったんだろうか。
いや、それにしては半田の表情は心底おもしろいことを聞いたような顔で、怒っている風ではなかった。
「半田くん・・・?」
お腹を抱える勢いで笑っていた半田は、あーあと言って息をついて、笑いを収めた。
「あー笑った笑った。そっか。それでさっきのしあわせかって質問?」
「えっ」
「の考えてること当ててやろうか。俺が、あいつのこと好きだと思ったんだろ?」
ふ、と半田がそう言って背後を示した。
そちらへ視線を向けると、ちょうどそこにはこの間半田と談笑していた少女が歩いていた。
なるほど近くで見ると確かにかわいい。
まるで砂糖菓子を人間にしたらこんな風なんじゃないかと思うほどかわいい。
「かわいい子だー・・・」
思わず呟いたら、半田がひらひらと手を振った。
「あれ見た目だけだから。騙されるなよ」
ざっくりとした物言いにの方が驚く。
好きな相手に対してその物言いはどうなんだろうか。
そう思ったの心情を読みとったように、半田が笑う。
「俺とあいつは親友みたいなもんだよ。だから、別に好きとかどうっていうんじゃないんだよな」
「え・・・でも」
「あれだろ、。俺があいつ好きだけど、豪炎寺とあいつが仲いいから俺が身を退いたんじゃないかとか、横恋慕してるんじゃないかとか思ったんだろ?」
「!」
瞬いたら、あたりだろ、と笑われた。
「結構言われたりするんだよなー別のクラスの奴から。あとあいつの性格とか豪炎寺の本性とか知らない奴から。でもはっきり言うけど、それは本気ですさまじい誤解だから」
「そう、なの・・・?」
「まぁね。まぁ、あいつも苦労するよなー」
ふ、と笑った半田の顔は、とても優しいものだった。
それを見て、やっぱり好きなんじゃないのか、とは思うが、半田にしてみればそんなことは全然ないようで、それならなおさら、不思議だった。
半田が言った好きな人が、あの子じゃないなら。
一体、誰だというんだろう。
「でも、半田くん」
「ん?」
「好きな人はいるんだよね」
「えっ、あー・・・」
半田は照れたように頭をかいた。
それからを見る。
「・・・うん。まぁ」
はにかんで頷く半田に、は視線を落とした。
「そっか・・・」
「は?」
「えっ」
「はいないの? 好きな奴」
半田が、じっと、を見ていた。
その視線になぜか動揺して、は思わず一歩下がる。
「え、えっと、それは」
「それは?」
心なしか真剣な表情をしている半田に、は思わず黙り込んだ。
今、半田があの子を好きなわけじゃないと聞いて安心した。
でも好きな人はいるんだと聞いて、落ち込んだ。
それは。
それは。
あの時の放課後、違うと否定した気持ちだ。
「私は・・・」
言いかけた刹那、廊下にチャイムの音が響いた。
授業が始まる合図だ。
「も、もう授業始まるね! 私、クラスに戻らないと・・・!」
誤魔化すようにそう言って踵を返そうとした瞬間、手を取られた。
「」
半田が、今まで見たこともないような真剣な顔をして、を見ていた。
「いるのか。好きな奴」
「!」
息を呑んだ。
の前の半田は、いつだって穏やかだった。
笑って世間話をする相手だった。
こんなに真剣な顔で、こんなに強い力で、を引き留めることはなかった。
「い、ない・・・!」
半田の表情にどうしてか怯えて、は早口で答えた。
「いないよ、好きな人なんて。いない」
「、ホントに」
「いても!」
その時、どうしてそんなことを言ってしまったのか。
自身にも、よくわからない。
「いても、半田くんには関係ないよ・・・!」
ふ、との手を掴んでいた力が緩む。
それでも手首はまだ取られたまま。
「・・・そっか」
どこか傷ついたような、声。
「・・・ごめん、引き留めて。じゃあ・・・、な」
する、との手首から半田の手がはずれる。
なにか言わなくちゃ。なにか。でも、なにを。
結局はなにも言えないまま、踵を返して逃げるように教室へ走った。
「・・・あーのさ。」
「・・・・・。」
放課後。
机の上に突っ伏しているに、友人が呆れた声をかけた。
「先生、めちゃくちゃ怒ってたよ。まぁ呼んでも返事しないが悪いわけだけど」
「・・・・・」
「なんでそんなに上の空なのか知らないけど、ずっとそのままでいる気なら私先帰るね」
がたん、と席を立った友人の袖口を、の手が思い切り握りしめた。
友人はそれを見てやれやれと椅子に座り直す。
「・・・それで? なんで泣いてるの?」
机に頬杖をついて、空いている方の手で友人はの頭を撫でた。
ぼろぼろと、の目から涙が零れる。
どうして涙が出るのか、自身もよくわからなかった。
「・・・わかんない」
「そ。でも、わかんないって言葉で片づけるのはどうかと思うよ。それは自分の心と向き合うのを放棄してる。
そんなに泣くんだから、あんたの心に何かあるんだよ。それをちゃんと見つけてやんな」
「・・・・・」
「付き合ったげる私に感謝しなさいよー」
「・・・・・」
は涙を拭って、ちらりと窓の外を見る。
グランドにはサッカー部の姿はなかった。
今日は河川敷の練習なのかも知れない。
「・・・半田くんね、あの子のこと、好きなわけじゃないんだって」
ぽつ、と言葉が出た。
話したとき、半田はあの子とは親友だと言っていた。
その時自分は、確かにほっとしたのだ。
「でも、好きな子はいるんだって・・・」
あの子を好きじゃないと知ってほっとした。
でも半田に好きな子がいると聞かされて、平静でいられなくなった。
あんな冷たい言葉を言うつもりじゃなかった。
関係ない、なんて。
そんなことを言うつもりじゃなかった。
ただ、普通に。好きな人なんていないよと、笑って言えばよかったのに。
「なんで、言えなかったのかなぁ・・・」
「なにを?」
「好きな人、いるかって聞かれて。普通に、いないよって、言えばよかった・・・」
傷ついたような顔をしていた。
それはそうだろう。
ただちょっと聞いただけのことに、あんなに強く返されたら誰だって驚く。
ましてや関係ないだなんて、言い過ぎだ。
「なんで言えなかったの?」
「え・・・?」
「なんで、半田に『好きな人はいない』って言えなかったの?」
友人の言葉に、は目を上げた。
友人はいつものように頬杖をついて、けれどいつもより穏やかに、を眺めていた。
「なんで・・・?」
「そ。なんで?」
「そんなの、わか」
「わかんない、ですませない」
「・・・・・」
言われ、は黙り込んだ。
友人がはぁ、と溜息をつく。
「半田に好きな人がいるの、いやだった?」
「う・・・」
思わず呻いたに笑って、友人は諭すような口調で言った。
「それがなんでか、もうわかってるんでしょ。認めないでいてもいいことないよ」
「でも」
泣きそうになりながら、は友人を見る。
「でも、半田くん、好きな子いるんだもん。今更、私が」
自分の気持ちに気がついたって。
口を噤んだに、友人は微笑んだ。
「よくできました」
ぽんぽんとの頭を撫で、がたんと椅子から立ち上がる。
その手が鞄を掴んだのを見て、は狼狽えた。
「帰っちゃうの?!」
「うん。帰る」
「酷い! 薄情者!」
「あらら酷い。どっちかというと、私はのためを思って帰ってあげるんだけどね」
教室内にはもうと友人以外残っていない。
みんな部活か帰宅したのだろう。
そんな人気のない教室に傷心の私を残して帰るなんて、という思いを込めては友人を見上げた。
友人はふふ、と笑う。その指がすぃと教室の入り口を示した。
導かれるようにその指先を追って、は息を止めた。
躊躇うような気まずげな顔で、半田がそこに立っていた。
「は・・・はんだ・・・くん・・・」
「じゃ、凪。また明日ね」
「えっ、ちょっ・・・ま、待って待って! わ、私も」
「帰る、なんて馬鹿なこと言わないようにね」
「でっ、でも」
「始まってないのに終わらせるのは、もったいないと思わない?」
言い募ろうとしたにそう言って笑って、友人は教室の入り口に立っている半田に声をかけた。
「半田久しぶりー。今あの子、普段のあんたよりぱっとしない状態だから。大事に扱って」
「普段の俺よりって・・・俺どんだけだよ。酷い言われようだなおい」
そう言葉を返して、でも、と半田は言葉を続けた。
「大事にするに決まってるだろ」
それを聞いて友人は、いつものように笑みを浮かべて、そ、と言った。
「えっと・・・入るぞ」
「ど、どど、どうぞ・・・!」
律儀に断ってから、半田は教室に入った。
の正面の机の椅子を引いて、そこに後ろ向きに座る。
と向き合って、半田は心配そうにを見た。
「なんで泣いてたんだよ」
「な、なんでと言われても・・・。は、半田くんこそなんでうちのクラスに。もうみんな帰っちゃって、私しか残ってないよ」
「それはいいんだけど。に用があったんだし」
「え」
「・・・言っておきたいことがあって」
「な、なに?」
思わず身構えたに、半田は真剣な眼差しを向けた。
「さ、好きな奴、いないんだよな」
「えっ、そ、れは・・・」
念を押すような言い方に、いないと返事が出来なかった。
何せ今さっき自分の気持ちを認めたところなのだ。
ここでいないと言ってしまうと、せっかく認めたものが台無しになるような気がした。
「そ、その件はもう終わったってことで・・・」
「俺の中じゃ終わってない」
「な、なんで・・・」
「好きな人がいたって俺には関係ないっては言ったけど、俺は、関係ある」
半田は真剣な眼差しでを捉えたまま、大事そうに、その言葉を紡いだ。
「俺、が好きだから」
ぽかんと口を開けて半田を見つめたに、半田はきまり悪そうに目を逸らした。
「・・・ま、勝手な言い分なんだけどさ。に好きな奴がいるなら、それは・・・しょうがないって思ってた。ほら、俺よくぱっとしないって言われるし。
だからに別に好きな奴がいるなら、敵わないなーとか」
「そんなことないよ!」
半田の声を遮って、は必死に言った。
「半田くんはいい人だよ。ぱっとしないなんて、そんなこと全然ない! やさしいし、親切だし、サッカーしてるときだってすごく楽しそうで、だから私・・・」
一旦言葉を切って、は半田を見つめた。
意を決して、言う。
「わ、私、好きな人がいるの!」
それを聞いて、半田の表情がさっと曇った。
はその半田を見て慌てて続ける。
「その人とは、学校の門のところで会ったの。走ってるその人と私がぶつかって、その人は私に手を差し伸べてくれて。その日から、廊下で会ったら段々話をするようになって。
放課後教室から部活やってるところ眺めたりして。でも、その人好きな人がいるみたいだったから、なんか・・・ちょっと、変な態度取っちゃって。でも」
呆気にとられたような半田の顔を見て、は泣きそうになりながら笑った。
「今、ここに来てくれたんだよ・・・」
笑うを見て、半田は瞬いた。
次の瞬間、はぁぁ~~、と深い溜息をついて、半田は机に突っ伏した。
「えっ、半田くん?!」
「なんだよもー・・・。俺、絶対、振られんだろーと思ってた・・・」
「ご、ごめんね・・・」
「いいって。うれしい」
突っ伏していた顔を上げ、半田は、に向かって微笑んだ。
それはとても、うれしそうに。
はそれを見て、ふにゃりと笑う。
「私、半田くん好きだなぁ・・・」
思わず口をついて出た言葉。
意識せずに出た言葉だったけれど、それを聞いた半田の顔が見る見る紅くなった。
「お、っまえ、なぁ・・・!」
片手で口元を押さえながら、半田はから目を逸らした。
「そういうこと言うの反則!」
「え、え、ごめ・・・! もう言わな」
「ごめん嘘」
半田の手が伸びて、ぎゅう、との手を握った。
「・・・聞きたいから、もっと、言ってほしい」
「!」
「で、でもちょっと、今は心の準備が出来てないから、また今度とか・・・」
「う、うん。こ、今度!」
勢いよく何度も頷いたを見て笑って、半田は改めての手を握り直した。
「・・・帰るか。送ってく」
「う、うん。でも、部活は?」
「・・・今日は休む」
「いいの?」
「いい、っていうか・・・今日はどう頑張っても集中できないだろうし。それにこんなにやけてる顔で行けないっていうか・・・」
「?」
「なんでもない。あのさ」
「うん」
「これから、よろしくな」
まだ紅い顔で、それでもとびきりの笑顔で言った半田に、も心からの笑顔で答えた。
「うん」
「ま、私は最初から両想いだろうなと思ってたけどね」
「えぇ?!」
翌日。
ことのあらましを報告したに、友人は頬杖をついたいつものポーズでさらりと言った。
「な、なんで・・・!」
「まぁ、が半田意識してるのはわかりきってたし。それにあんたは知らないだろうけど、半田って部活が始まる前、必ずうちのクラス見上げてたから」
「そ、そんなの私のこと見てるんじゃないかも知れないのに・・・!」
「はいはい。まぁこういうことは当人達より周りの方が先に気づくもんだって言われたりするしね」
悪戯っぽく笑って、友人は紅い顔をしているを見上げた。
「さて。じゃあ私は今日もGHQの活動の一環として早く帰るわけだけど? はどうするの?」
問われ、ははにかんだ。
その顔を見て、友人はやれやれと肩を竦める。
「はいはい。ごちそうさま」
後記もどき
素敵イナイレ夢サイト、月華の風華さんへ捧げます。
サイト六周年おめでとうございます。
こう・・・恩を仇で返した感が。
半田がどんな人なのかということを真剣に考えたんですが、とりあえず標準男子ということが彼の魅力なんじゃなかろうかと考え至りました。
ひょ、標準・・・?

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